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畳のお話

 日本では西洋と違い、古くから靴を脱いで生活しています。 もし靴履きの生活なら畳は誕生しなかったかも知れません。
しかし板の間なら、その硬さで足が痛くなるし、関節などに与える影響も大きいのです。
そこでクッションの役目としての畳が誕生したのではないでしょうか。

<畳の歴史>
 本来、畳は座る場所だけに使われるものだったようです。今で言う座布団みたいな物でしょうか?
大きさは今のように一定ではないものの、いぐさ一本の長さ以上の幅は存在しなかったはずです。

 次第に大きさが決まり始め、長い辺が一間(いっけん)=180cm、短い辺が半間=90cmくらいになり、
移動可能な敷物から、今のように固定される敷物へと変化していったのだそうです。

こんな畳もあります。
カラー表
市松表
高級畳床の棕櫚畳床(畳の裏面)
「畳はワラで出来ています!」…なんて誰でも知っている事ですよね!?

 でも最近はそうとも言い切れません。様々な素材が登場していますから…。
しかし、まだまだ“ワラ”が基本なのは、どの素材も、それを模していることからも伺うことが出来ます。

 じゃ、畳が二重構造で出来ているって事はご存知ですか!?
 
 幾層かの複合素材(合成チップやクッション材などなど)からなる “床(とこ)”と呼ばれる土台の表面に “いぐさ”(これも今ではビニールや化学繊維みたいなのまで出現しています) を編んだ“表(おもて)”と呼ばれる物を巻き込んで 一つの"畳"が構成されています。

 一枚の畳も実は「土台にカバーを覆った敷物」と言う感じになっています。
私たちは日頃、このカバーの上で生活しているのです。
ちょうど、スプリングやクッションを組み合わせたマットの上にシーツを敷き、寝起きをする…ベットと同じような感じですね。

 しかし、それだけでは“表”がズレるので “縁(へり)”と呼ばれる縫込みをふちに施します。
一般的には長方形の長い辺に“縁”をつけてあります。 その昔、おばあちゃんに 「畳の縁を踏んではいけません!」としつけられた覚えはないですか!?
 
 そうです、礼儀としてはもちろん、縁は畳を安定させる重要な部品でもあったのです。
だから踏んではいけない!と教えられて来たのかも知れませんね。
 この“縁”は単なる縫込みの為だけでなく、古くは身分を表したり飾りとしての役目も果たしていたと言うのですから重要なものなんですね。

 確かなことは言えませんが、 おじいちゃん・おばあちゃん・小さなお子さんをはじめ、ひざを中心に足腰への負担が軽くなる事から、その役割を見直されることを願っています。

 また、その構造上の通気性から夏は涼しく、 熱伝導面から冬は暖かいと言った利点もあります。
まさに“呼吸をする床材”と言った感じでしょうか。

 近年、洋式の生活空間が増え、 フローリングやじゅうたんの部屋が多くなりましたが 「畳の上に寝転ぶと気持ち良い!」と思うのは、
古くからの生活習慣による本能的なものの他に、きっと、こうした畳独特の“生き物”的な特徴が影響しているのでしょう。